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今どきの派遣事情

派遣社員として働くなら「3年ルール」「5年ルール」を知っておこう

2023.11.03

派遣社員として働くなら「3年ルール」「5年ルール」を知っておこう

派遣社員として働いていると「3年ルール」「5年ルール」という言葉をよく耳にします。どんなルールか教えてといわれても、言葉に詰まる方もいるでしょう。なんとなく知っているという方も、実は初めて聞いたという方も、派遣社員として働くならしっかり理解しておいたほうがいいでしょう。

今回は、「3年ルール」「5年ルール」の内容と、考えておいたほうがいいことについて具体的に紹介します。

3年ルール

派遣社員の雇用安定やキャリアアップを目的に、2015年の労働者派遣法改正により適用されることになったルールです。派遣社員が同じ事業所の同じ部署で働けるのは3年までと法律で定められています。

なぜ3年ルールが誕生したのでしょうか。少し歴史を振り返ってみましょう。労働者派遣法が制定された1986年は、派遣として働けるのはソフトウェア開発、事務用機器操作、通訳・翻訳といった専門的な知識や技能を有する16業務に限定されていました。

1996年には、正社員に代替えのできない業務を中心に対象業務が拡大。研究開発、書籍等の制作・編集、広告デザイン、インテリアコーディネーターといった業務が加わり、対象は26業務に広がりました。

1999年には港湾運送、建設、警備、弁護士・公認会計士・税理士といった士業など、禁止されている業務以外は原則として派遣で働けるようになり対象業務は急拡大。ただ、1996年に対象になった26業務を除いては、派遣期間は1年という制限がありました。

2000年には紹介予定派遣が登場、2004年には26業務の派遣期間は無制限に、26業務以外の派遣期間は3年に延長されました。

規制緩和で派遣労働者が増えていったなか、2007年に日雇派遣が問題になり、2008年にはリーマンショックが発生。派遣切りが話題になったことで、派遣労働者を保護する機運が高まりました。業務に関わらず派遣期間の上限を原則一律3年にすることが決まったのは2015年。派遣社員から正社員へのキャリアアップを促進するのが目的です。

派遣の求人が増えたのは、派遣先企業にとってメリットがあったからです。派遣社員の社会保険料は派遣会社と労使折半となり、福利厚生は派遣会社が負担します。派遣先企業としては正社員などの直接雇用よりもコストを抑えることができ、事業の状況に応じて働くスタッフの人数を調整しやすくなります。ただしこれは、派遣社員にしてみれば、雇用が安定しないというデメリットにつながる話です。

また、業界によっては、派遣社員は一時的な業務量の増加などに対応する人員と位置付けられており、長期雇用が想定されていない企業が多かったりします。このような派遣労働者にとって不利な状況を改善すべく定められたのが3年ルールです。

2020年に同一労働同一賃金ルールも制定されるなど、派遣社員の労働環境は改善されています。

3年ルールには「事業所単位」と「個人単位」が存在

「3年」はどのような場合に適用されるのでしょうか。事業所単位、個人単位でそれぞれ条件が異なります。

事業所単位とは、同じ事業所・部署であれば、企業が受け入れられる派遣社員は最大3年までというルールです。たとえば、Aさんが1年間派遣として働いた後、Bさんが派遣としてやってきた場合、Bさんが派遣として働けるのは2年間です。事業所単位の期間制限は、個人単位の制限より優先されます。

ただし、期限制限日を迎える1ヶ月前までに事業所の労働組合、またはその代表者に意見聴取をするなどの手続きを行えば、事業所単位の期間制限は延長することが可能です。

個人単位とは、同じ事業所・部署で、1人の派遣社員が働けるのは最大3年までというルールです。どんなに職場環境や業務内容を気に入っていたとしても、3年以上派遣として同じ事業所・部署で働くことはできません。なお、3年ルールは個人に対して適用されるため、同じ事業所・部署で働くために派遣会社を変えるのもNGです。

対象者

3年ルールの対象となるのは、派遣会社と有期雇用派遣契約を結んでいる派遣社員です。無期雇用派遣契約を結んでいる場合は3年ルールが適用されません。

ただし、全ての有期雇用派遣が対象となるのではなく、以下の条件に当てはまる場合は対象外です。

・年齢が60歳以上

就業開始日または就業開始日から3年経過した時点で60歳以上になる場合は、3年ルールが適用されません。たとえば、60歳から派遣社員として働き始めた、58歳の時に派遣として働き始めた場合が該当します。58歳から働き始めると、3年を経過した時点で61歳になるためです。

・期限のあるプロジェクトに従事してい

終了日が決まっているプロジェクト業務などに派遣されている場合、3年を超えてもプロジェクトの終了日まで派遣として働くことができます。たとえば、2020年4月1日から始業、2025年3月31日が終了予定日のプロジェクトに従事している派遣社員には、3年ルールが適用されません。

・日数限定業務を行っている

通常の労働者の1ヵ月間の所定労働日数の半分以下、かつ月10日以下の業務を行っている場合は対象外です。

・産前産後休業・育児休業・介護休業取得者の代替業務である

派遣社員が休業取得者の業務を代替する場合、3年ルールは適用されません。ただし、原則として休業取得者の業務を減らすことなく、派遣社員が引き継ぐことが想定されています。業務の一部を減らす、部内で業務を分散させるなどして派遣社員に依頼する業務を減少させた場合は、代替業務として認められない可能性が高くなります。

・3年の途中で部署を異動している

派遣先企業での就業開始日から3年の間に部署異動した場合、異動前の部署での就業期間はリセットされ、新たに3年間の就業が可能です。たとえば、営業部で2年働いた後に経理部に異動した場合、経理部では3年間働くことができます。

3年後の選択肢

派遣社員は3年以上同じ事業所・部署で働くことができないため、その後のキャリアや働き方を決めておく必要があります。考えられるのは次の4つのルートです。

・派遣先企業に直接雇用してもらう

派遣として働きぶりが高く評価され、今後も働いてほしいと派遣先企業からの要請があり、派遣社員が応じれば直接雇用に切り換えることができます。派遣社員が直接雇用を望まない場合は、断ることも可能です。直接雇用といっても正社員とは限らず、契約社員やパートの場合もあるため、契約内容を事前によく確認しましょう。

・派遣社員として別の部署で働く

派遣先企業が気に入っており、他部署でも活躍できるスキルや経歴を持っていれば、部署を変えることで、さらに3年間働くことができます。ただし、事業所単位の3年ルールが適用されるため、派遣先企業では期間延長の手続きが必要です。希望する場合は、早めに派遣会社に相談してください。

・別の派遣先を探す

今までの経験やスキルを活かして、別の事業所で派遣として働くルートです。短期間でさまざまな経験を積むことができ、対応できる仕事の幅が広がっていきます。「いろいろな仕事を経験して自分にとっての天職を見つけたい」「同じ仕事や環境が続くと飽きてしまう」という方は、別の派遣先を探すのがおすすめです。

派遣先と担当業務が変われば、さまざまな環境や役割、人間関係を経験しながらキャリアアップをしていくことができます。派遣会社のコーディネーターに希望のキャリアパスについて相談し、常に成長できるような求人を紹介してもらいましょう。

・派遣会社の無期雇用社員になる

派遣会社と有期雇用契約を結ぶ登録型派遣と異なり、派遣会社の無期雇用派遣(常用型派遣)になると3年ルールが適用されません。派遣としての働き方は変わらないまま、安定した雇用環境で働くことができます。

無期雇用社員は月給制が多く、休日が多い月は収入が減少するという不安から解消されます。また、派遣先で働いていない待機期間中も収入が得られるため、収入も安定します。

無期雇用派遣に転換する条件などは派遣会社によって異なります。詳しくは派遣会社の担当者に相談してください。

5年ルール

3年ルールは派遣社員のみに適用されますが、5年ルールは有期雇用契約の労働者全員が当てはまります。こちらも労働者の雇用の安定が主な目的であり、労働契約法で定められています。

5年ルールとは、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、労働者が無期雇用への変更を申し込むことができる制度。無期転換を希望しない場合は、有期労働契約の更新が可能です。この場合、新たな有期労働契約の初日から末日までの間に無期転換を申し込むことができます。無期雇用に切り替わるのは、申し込み時の有期労働契約が満了する日の翌日からです。

なお、申し込まれた企業は無期雇用への転換を拒むことはできません。2013年の4月1日から施行され「無期転換ルール」とも呼ばれています。

たとえば契約期間が1年の場合、5回目の更新後の1年間に無期転換の申し込みが可能です。契約期間が3年の場合は1回目の更新後の3年間が無期転換の希望を出すタイミングです。ただし、あくまでも無期雇用契約であり、正社員とは限りません。就業規則などで定められていない限り、職務、勤務地、賃金、労働時間などは直前の有期労働契約と同一の労働条件になるのが一般的です。

無期雇用への申し込みは口頭で行っても、法律上は有効です。とはいえ口約束はトラブルが起こりやすいため、書面で申し込みを行うとよいでしょう。

労働者が無期転換ルールを使えないよう、意図的に無期転換への申し込み権利が発生する前に雇止めを行う企業が存在します。しかし、法律に照らし合わせると、雇止めが無効となるケースもあるため、不安な場合は厚生労働省の総合労働相談コーナーや都道府県の労働相談センターに相談してください。

無期雇用に転換すると、契約満了後に次の仕事が見つからないという不安から解放され、雇用と収入が安定します。体験者に聞くと、仕事へのモチベーションが上がる人や、長期的なキャリア形成を考える人が多いようです。なかには、「責任のある仕事をまかされるようになって会社への帰属意識が高まった」という人もいます。

5年ルールが適用される条件

以下の条件に当てはまると、5年ルールの対象者になります。

・有期労働契約の通算期間が5年を超える

継続して同じ会社で働いている場合、職種や職務内容の変更、異動があったとしても契約期間は通算されます。ただし、無契約期間が一定の長さ以上ある場合、通算対象から除外されます。無契約期間前の通算契約期間によって一定の長さは異なるため、詳しくは厚生労働省の総合労働相談コーナーで確認してください。

・契約更新回数が1回以上ある

契約更新が1回も行われていない状況では、無期転換への申し込みはできません。

・現時点で同一の使用者との間で契約している

異動があったとしても、同一の使用者(企業)の下で働いている場合は対象となります。

対象者

契約社員やパート、アルバイトなど有期雇用契約を締結している全ての労働者が対象です。派遣社員の場合は、派遣会社に無期雇用を申し込むことができます。

例外

5年ルールにも対象外となるケースがあります。

・高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者

「博士の学位がある」「公認会計士・医師・歯科医師・獣医師・弁護士・一級建築士・税理士・薬剤師・社会保険労務士・不動産鑑定士・技術士・弁理士の資格がある」「ITストラテジスト、システムアナリスト、アクチュアリーの資格試験に合格している」といった人が該当します。また、契約期間中に支払われる見込みの賃金を1年間当たりの賃金に換算した額が1,075万円以上であることも条件です。

・適切な雇用管理に関する計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた事業主(グループ会社を含む)の下で、定年に達した後、引き続いて雇用される人

認定を受けていない企業で働く場合には5年ルールが適用されます。また、グループ会社での再雇用も含めて、定年に達した人を継続雇用した場合は無期転換の対象外ですが、60歳以降に新たに雇用した場合は、無期転換の対象となるため注意が必要です。

派遣社員で働くなら「派遣なび」に相談を

「3年ルール」「5年ルール」は労働者を守るための重要なルールですが、難解なところもあり、自分が対象になるのかはわかりにくいものです。派遣での働き方に不安がある場合は、お気軽に「派遣なび」にご相談ください。派遣業界に精通したコーディネーターが適切なアドバイスを行います。

「派遣なび」を運営しているシーエーセールススタッフは、アパレル・ファッション業界の求人を数多く扱っている人材サービス企業です。キャリアアップの相談を随時受け付けているほか、派遣サービスにおいては業務や人間関係のトラブル対応など就業中のサポートも行ってます。派遣という働き方に興味がある方、今の仕事を続けようか悩んでいる方は、まずはお気軽にご相談ください。

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