今やどんな分野でも使用するのが当たり前になっているIT技術。アパレル・ファッション業界でも活用されており、ファッションとテクノロジーを掛け合わせた、ファッションテック（Fashion Tech）という言葉も登場しています。

ファッションテックの活用範囲は広く、新たなアイテムの企画から商品の配送まで、さまざまなシーンで導入されています。今回はその中から、顧客により近い3つのジャンルについて最新の動向をレポートします。

バーチャル系サービス

AR（拡張現実）やVR（仮想現実）をはじめとするバーチャル技術を活用したサービスです。

・バーチャルフィッティング（試着）

「サイズ感が違った」「着てみたら写真とイメージが違う」などの声を、アパレルECサイト利用者から聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

このような問題解消のため、スマートフォンのカメラで撮影した自身の姿に試着したい商品を重ねるなどの方法で、試着体験ができるのがバーチャルフィッティングです。システムによっては試着した状態で動くこともできるため、より実際の試着に近い体験が可能になっています。

スマートフォンのアプリを利用するものが主流ですが、実店舗に設置された鏡風のサイネージを使用して実物大の自分を見られるサービスもあります。また、試着の対象は洋服だけでなく、アクセサリーやメガネなどファッション小物にも広がっています。

・バーチャルスタイリスト

オンラインでプロのスタイリストに相談ができるサービスです。実店舗で買い物をする際には、わからないことや知りたいことがあれば、その場で販売員に相談できます。しかしECサイトを利用して買い物するときは、「コーディネートの相談をする相手がいないため、購入をためらってしまう」というケースがあります。

どうしようか迷ったときに、ファッションに精通したスペシャリストの意見が聞ければ、安心して購入する人が増えるでしょう。数年後には、当たり前のサービスになっているかもしれません。

サブスク（サブスクリプション）サービス

動画や音楽のサービスではすっかり定着しているサブスクですが、ファッションの世界でも浸透しています。

・クロージングサブスクリプション

月額利用料を支払うことで好きな商品をレンタルすることができる仕組みです。流行りの服を気軽に試したり、普段とは違う雰囲気の服に挑戦したり、気になるアパレル商品を試してみたい人に好評です。

高額な商品や、パーティードレスのように着る頻度の少ない服など、購入するのに二の足を踏んでしまうような商品はもちろん、普段着を気軽にレンタルする人も増えています。

AI（人工知能）系サービス

これまでの利用者のデータをふまえて、多様な提案ができるAIの技術を活用したサービスも増えています。「あなたにぴったりのアイテム」「おすすめのコーディネート」などのコンテンツが増えれば、ショッピングをネットサービスで済まそうとする人が増えていくでしょう。

・チャットボット

ECサイトや企業のサイトで多く取り入れられているチャットボットも、AIの技術が利用されています。従来はオペレーターが勤務している時間帯のみの対応でしたが、チャットボットが導入されたことで24時間365日の問合せ対応が可能になりました。

・コーディネート提案

自分が持っている洋服や自分が好きなスタイルをアプリに登録することで、AIがコーディネートや買い足しの提案などをしてくれます。また、天気や気温を考慮した「本日のおすすめコーディネート」を提案してくれるアプリもあります。

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ファッションテックは、顧客のニーズに応じて、さらに細やかなサービスが増えていくことが予想されます。また、IT技術が発展することで、顧客へ商品の魅力を伝える場所や方法がショップの店頭以外にも大きく広がっています。

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