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アパレル・ファッション業界志望者必見!3つの視点から見るファッションの未来【前編】

2022.08.15

アパレル・ファッション業界志望者必見!3つの視点から見るファッションの未来【前編】

ファッションは、体を守る衣服であるだけでなく、文化や価値観、創造性を表すものであり、時代や価値観を映すものです。近年、ファッション業界を取り巻く環境は、消費の多様化や気候変動などにより、さまざまな変化を遂げています。

経済産業省は有識者による「ファッション未来研究会」を設置。34名の有識者が話し合い、人とファッションの関係を踏まえながら、望ましいファッションの未来を描くために重要な事項を3つの視点から10のキーワードでまとめました。

この記事では「ファッション未来研究会」の報告書の内容をコンパクトにまとめて、2回に分けて紹介します。前編は「人と自然に調和的なファッション」「テクノロジーで変わるファッション」です。

人と自然に調和的なファッション

近年、さまざまな業界で循環型経済への移行が進められています。ファッション業界においてもビジネスの持続可能性や、サステナブルな視点が求められます。

キーワードになるのは次の3点です。

1:需給ギャップを縮小させるビジネスモデル

日本国内のアパレル製品の市場規模は1991年の14.7兆円をピークに、2019年には10.4兆円まで減少。衣料品の購入数量は1990年代以降、減少傾向にあります。

しかし、国内供給点数は1990年に約20億点だったものが、2019年には約40億点と倍増しており、過剰生産の傾向にあります。

過剰生産を防ぐため、AIを活用した需要予測や販売計画の精緻化、商品の適切な配分を行う企業が登場しました。消費者に直接販売するDtoCブランドを中心に、先行受注予約を行うことで、過剰生産・過剰在庫の課題を解決する動きも出始めています。

個人の好みや体形に合わせてオーダーメイドで作る「カスタマイゼーション」、3Dボディスキャンやスマホアプリでのデジタル採寸など、自動リコメンド機能による「パーソナライゼーション」なども注目されています。必要なものを必要なだけ作ることが、これからのキーワードとなるでしょう。

2:良いものを長く楽しむファッション文化

服飾リセール市場は2016年に2,510億円でしたが、2020年には4,010億円まで成長し、消費者のリセール品や古着への抵抗感は減ってきたことがわかります。

衣服購入において今後重要となる決定要因は何か?調査の結果によると、上位に来ているのはトレンドや周りの意見ではなく、サステナビリティや手入れの楽さ、機能性の良さです。トレンドや流行よりも、自分の価値観にあったアイテムを選ぶ傾向や、社会協調志向の強まりがうかがえます。

3:循環システムの構築

フランスでは2022年、企業による衣服や家電、化粧品、書籍など商品の在庫の廃棄を禁止する法律が施行されました。一方、日本においては、家庭で捨てられる衣服の約7割以上が焼却処理されています。2020年の国内新規供給量は81.9万tですが、51.2万tが廃棄されており、循環システムの構築が急務となっています。

近年注目が高まっているのは、回収した衣服を化学反応により組成変換したあとにリサイクルする「ケミカルリサイクル」。古着からポリエステル素材を抽出して再生ポリエステル素材を作り、衣服を作る仕組みです。

土壌や海洋で早期に分解されるバイオマス由来の繊維「バイオマテリアル」も、地球環境への負荷が軽減されると期待されています。

テクノロジーで変わるファッション

SNSやゲーム、メタバースでのコミュニケーションが増えるにつれ、「デジタルファッション」への注目が高まっています。創作活動の自由度も大幅に上がるでしょう。テクノロジーの発展により、アパレル市場の未来はどうなっていくのでしょうか。

3つのキーワードでひも解いていきましょう。

1:質量のないデジタルファッション

メタバースなどのコミュニケーションが拡大するにつれて、インターネット上だけのおしゃれを楽しめるようになりました。年齢や性別から自由になり、気候の変化も関係なく、より私らしさを表現できる新しい手段がデジタルファッションです。

ゲーム内のファッションアイテムへの課金額は2020年に約150億ドルでしたが、2025年には200億ドルを超える見込みであり、今後も拡大が予想されています。

テクノロジーの活用により、ARなどを活用した「バーチャルフィッティング」など、今後新しいサービスが生まれてくるでしょう。

2:創造性の発揮を支援するテクノロジーの台頭

質量のある服の場合、体の動きや生地の特徴、縫製技術など専門知識が必要です。しかしデジタルファッションでは制約が少なく、誰もがデザイナーになれる時代が到来しました。このことで「創造性の民主化」が進むと予測されています。

一方で、デザインやモノづくりの難しさが再認識されることで、より高い価値を生み出せる人への評価が高まることも期待されています。

3:創造社会の新しい市場ルール

過剰生産の是正、服の長寿命化やリサイクルシステムの構築、デザインの民主化が進むと、アパレル企業やデザイナーの収益低下が懸念されます。改めて、「ファッションで稼ぐ」ための方法や価値観を考える必要が出てきます。

カギとなるのが、NFT(Non-Fungible Token、代替不可能なトークン)を活用した収益の多元化です。NFT技術を使うことで、デジタルファッションやテキスタイルデザイン(布のデザイン)においても一点モノの価値が証明できます。

リセール市場で服が売れても一次制作者には還元されないため、リセール市場の収益分配の見直しも検討課題です。また、製造過程において、人権侵害や環境汚染がないかを明確にする「トレーサビリティ」にも注目が集まっています。

未来のファッション業界の在り方を考えていくために、アパレル企業では多様な経験を持った人材を求めており、転職市場は活性化しています。同時に、サポートをする派遣社員の求人も増えており、アパレル業界に挑戦したい方にとっては、今がまさにチャンスです。

後編では、「新たな価値を生み出すファッション」について紹介します。

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