アパレル販売員のキャリアを考える際、アパレル以外の業種へ転職することも視野に入れてみましょう。販売員には販売スキルはもちろん、接客術やコミュニケーション力など、汎用性の高いスキルが身についているため、他職種への転職に有利になります。

今回はおすすめの5つの転職先について紹介します。

営業職

お客様に商品・サービスを提案し、販売する営業職。扱う商品はさまざまですが、何かを「売る」という行為はアパレル販売員と共通しているため、販売員経験を活かすことができます。

自社の商品を一方的に売りつけようとするのは、いい営業職とはいえません。アパレル販売員のように、お客様の希望や悩み、課題を伺いながら最適な解決方法として自社の商品やサービスを提案します。営業職では、自分より年上のお客様に対応するケースも多々あります。つまり、販売員としてさまざまなお客様に対応してきた経験をそのまま活かせる職種といえるでしょう。

営業には個人向け（BtoC）、法人向け（BtoB）の2種類があり、販売員がイメージしやすいのは個人向け営業です。ただ、法人営業であっても企業の窓口となる担当者にコンタクトを取り、営業活動を行うため大差はありません。

営業職で経験を積んだ後は、マーケター、商品企画、営業コンサルタント、管理職などにキャリアアップすることができます。販売員ではキャリアアップが望めないと考えている人にとって営業職はおすすめです。

インセンティブ制度がある会社は、成果を上げれば収入がアップします。自動車、保険、不動産などはインセンティブが導入されているケースが多いため、給与を上げたいと考えている人は検討してみてはいかがでしょうか。ただし会社によっては、固定の給与を抑えてインセンティブの比率を高くしているところもあります。その場合は、売上を伸ばせないと給与が安くなってしまうので、メリットとリスクを並べて考える必要があります。

求められるスキル

・課題解決力、ヒアリング力

お客様は悩みや課題を解決するために、営業職に相談します。お客様に真摯に寄り添い、課題解決力がある営業職は重宝されます。

・コミュニケーション力

商品やサービスをお客様にわかりやすく説明するためのコミュニケーション力も欠かせません。お客様の理解度に合わせて説明を変えたり、話すスピードを調節したり、臨機応変な対応が求められます。

事務職（一般事務・営業事務）

土日休み、座り仕事が多い事務職は、体力に不安を感じ始めた人や子育てを重視したい人の転職先として人気があります。常に求人数に対して応募者が多い状態であり、高い競争倍率を誇ります。

一般事務と営業事務は同じ事務職ですが、一般事務は電話応対、来客対応、書類作成などの幅広い雑務を行います。さまざまな部署で活躍していますが、総務、経理などには専門的な事務職がいる企業もあります。営業事務は営業職のサポートが中心となり、電話やメールの対応、書類やプレゼン資料の作成などを行います。

黙々とPCに向かって仕事をしているイメージがあるかもしれませんが、実は多くの人とコミュニケーションをとりながら仕事をしています。社外の人と対応するケースも多いため、会社の顔として礼儀正しいふるまいやビジネスマナーも求められます。販売職としてさまざまなお客様と接してきた経験は事務職でも活かすことができます。

また、店舗で現金管理や在庫管理といった管理業務を行った経験がある人は、一般事務の仕事にスムーズに慣れることができるでしょう。

求められるスキル

・スケジュール管理能力

部署で複数のスタッフのサポートをすることが多い事務職に、スケジュール管理能力は欠かせません。重要度・緊急度を判断しながら、締め切りまでに書類を作成・提出する必要があるうえに、営業職や他部署から急ぎの依頼をされることも多く、常に臨機応変な対応が求められます。

・基本的なPCスキル

求人に未経験者歓迎とあっても、基本的なPCスキルがあることは前提になっています。データ入力や書類、資料の作成などは、WordやExcel、PowerPointといったソフトを使用するため、基本的な操作はできるようにしておきましょう。

最近は顧客管理ツールや営業支援ツールを使用している企業が増えてきており、事務職も使用することがあります。マニュアルを見ながら使いこなせる程度のPCスキルがあると、採用に有利になります。

・ビジネスマナー

電話応対やメール対応、来客時の案内など、会社の代表として対応するため、基本的なビジネスマナーも必須です。

アパレル業界以外のサービス業

扱う商材がアパレルでなくても、販売業務であれば今までの経験をそのまま活かすことができます。業務に慣れるのも早く、即戦力として活躍できるでしょう。

「ブランドのターゲットとなる年代と自分の年代が合わなくなってきた」「ファッションよりもインテリアなど他のことに興味が出てきた」という人は、アパレル以外の販売職やサービス業を視野に入れてみてください。飲食業のホールスタッフもアパレル販売で培った接客スキルを活かすことができます。

接客スタイルも業種によって差があります。アパレル販売はお客様との会話が多い傾向ですが、スーパーやドラッグストアの販売員は、お客様との会話が少なくなります。ジュエリーや百貨店など高額な商品を扱う場合は、アパレルよりもさらに会話は増えるでしょう。自分の得意、または好きな接客スタイルで業種を選ぶというのも一つの方法です。

求められるスキル

・コミュニケーション力

サービス業である以上、コミュニケーション力は欠かせません。スタイルの違いはあってもお客様に丁寧にヒアリングし、最適な提案をするという接客の基本は同じです。

・柔軟性

基本的な接客マニュアルはありますが、対人の仕事のため臨機応変な対応が求められます。可能な限りお客様の要望に応えられるよう努力しつつも、悪質なケースには毅然とした態度で臨まなくてはなりません。時にはクレーム対応をすることもあるでしょう。どのような状態になったとしても対応できる柔軟性がある人は、サービス業で重宝されます。

介護職

少子高齢化が進む日本では、将来的に30万人超の介護人材が不足するという予想も出ています。そのため、介護職の求人数は豊富であり、未経験者の採用も盛んに行われています。

研修制度や資格取得支援制度を導入している介護サービス事業所が多いため、働きながら実務経験を積み、国家資格である「介護福祉士」を取得することもできます。介護福祉士の資格を手にすると、仕事の幅が広がる、資格手当が支給される、上級資格であるケアマネジャーに挑戦できるなど、多くのメリットがあります。

接客業で培ったコミュニケーション力は介護職でも大いに活かすことができます。利用者様の思いを汲んだ対応ができる人、細やかな気遣いができる人は、介護職として高く評価されます。

職場によっては夜勤があります。夜勤は高収入が期待できますが、体力面でつらいことも。体力面に不安がある場合は、夜勤がない職場を選ぶことをおすすめします。また、食事・入浴・排泄といった身体介助に抵抗がある人は、身体介助がない求人を探してみましょう。

求められるスキル

・観察力

自分の思いや体調を言葉でうまく伝えらない人が多い介護の現場では、相手の表情や仕草を読み取ることが求められます。日ごろから丁寧なコミュニケーションを取り、「いつもと違う」という変化を敏感にキャッチする必要があります。密なコミュニケーションを求められますが、販売職で数多くのコミュニケーションを取ってきた人ならば、比較的スムーズに仕事に慣れることができるでしょう。

・コミュニケーション能力

認知症が進んだ方、耳が遠い方などをケアするケースがあり、多様なコミュニケーション方法を求められます。利用者様に合わせたコミュニケーション取れる方は、介護職に適性があるといえるでしょう。

・介護の基礎知識

介護職の仕事は、食事・入浴・排泄といった身体介助に加え、食事の配膳、着替え、移動のサポートなど多岐に渡ります。介護の基礎的なスキルや高齢者の体や心の特徴などを把握しておくとよいでしょう。

IT・Web系

IT業界は深刻な人材不足に陥っているため、未経験から育成する制度を用意している企業が増えています。IT業界は将来性のある業界です。知識や経験がなくても、挑戦できる今がチャンスです。

IT関連の中でも開発系ではなく運用系であれば、既存システムの更新や監視、管理がメインとなるため高度なプログラミングスキルは求められません。未経験から挑戦するなら、運用系が狙い目です。

ECサイトを運営している企業では、実際に店舗でお客様に提案してきた経験が貴重なマーケット感覚として重宝されます。なぜなら、販売職としての経験を活かして、魅力的なサイトを制作することができるからです。また、SNS運用経験がある人も評価されるでしょう。

求められるスキル

・IT全般の知識

未経験者歓迎とはいえ、基本的なPCスキルはマスターしておきましょう。IT業界に未経験から挑戦するのが不安な場合は、独学やプログラミングスクールなどで基礎を学んでおくと安心です。

・コミュニケーション力

黙々とPCに向かって作業をしているイメージが強いかもしれませんが、ひとりでシステムを運用・開発することはできません。他領域のエンジニアと協力しながら仕事を進めてく必要があるため、IT業界でもコミュニケーション力は必須です。

IT企業内だけでなく、システムを利用するお客様企業とのコミュニケーションも必要になります。お客様はITに詳しいとは限らないため、専門的な知識をわかりやすく説明する力も必要です。他業種の経験があるからこそ、お客様に寄り添った対応ができるでしょう。

・Webマーケティングの知識

EC販売を行う企業では、Webマーケティングの知識やSEOの知見、デザインソフトの基本的操作力があると採用に有利です。また、HTMLやCSS、JavaScript、PHSなどのプログラミングの知識も押さえておくとよいでしょう。

他職種でも活かせる販売員のスキル

販売員として経験を積むと、汎用性が高いスキルが身につきます。

・コミュニケーション力

日々の接客を通してお客様に合わせた適切な声掛け、相手のニーズをくみ取る力、相手に合わせた対案の仕方など、臨機応変なコミュニケーション力が身についていきます。接客業に限らず、どの職業についてもコミュニケーション力は必須の時代。販売職として多様なコミュニケーションを取ってきた経験は転職時に高く評価されます。

・情報収集能力、分析力

アパレルのお客様は流行感度が高い人が多く、最新トレンドを把握しておかないと信頼されません。そのため、流行の最先端にいるアパレル販売員は、情報収集が習慣になっている人が多いでしょう。店舗の売上目標を達成するため、日々の売上や商品動向のほか、接客手法などを分析している人もいるでしょう。

情報収集力や分析力もどの業界でも必要なスキルです。習慣化されている販売職は、自ら学び行動できる人として好印象を与えられます。

・提案力

こちらの売りたい商品をおすすめしても、お客様の希望に合わなければ購入してもらうことはできません。ニーズを的確に把握し、お客様に合わせた提案をする必要があります。また、コーディネートの提案を行い、複数商品の購入を促した経験がある人も多いでしょう。お客様にとっても、自社にとってもプラスとなる提案力は、営業職を中心に高く評価されるスキルです。

・臨機応変な対応力

販売員は接客だけでなく、商品の品出し、検品、在庫管理、ディスプレイなど多様な業務を行っています。忙しい時は販売員同士が協力して効率よく仕事を進めないといけないため、チームで連携する力が高まり、優先順位を付けて行動する習慣も身についていきます。

臨機応変に他人と協力しながら仕事を進めていく力も汎用性の高いスキルです。特に、介護の現場では重宝されるでしょう。

・マネジメントスキル

店長や副店長、リーダーを経験した人は、売上管理や在庫管理、部下育成などのマネジメント業務の経験があるはずです。年齢を重ねてから転職をする場合は、マネジメントスキルが重視されます。

他業種への転職も「派遣なび」に相談を

アパレル・ファッション求人に強い「派遣なび」ですが、事務やIT関連、アパレル以外のサービス業の求人も扱っています。他業種へ転職する際は、ミスマッチを防ぐためになぜ業種を変えて転職するのかを強く問われます。

未経験で不安という場合は、短期間の派遣社員としてチャレンジしてみるという手もあります。興味がある仕事が自分に合っているかわからない方は、「派遣なび」にご相談ください。派遣コーディネーターからヒアリングをさせていただいたうえで、適切な求人を紹介いたします。